最近テレビでコメンテーターとして活躍中の元明石市長の泉房穂さん。
パワハラ発言が問題視されてワイドショーなどでも取り上げられたりしてましたが、実績はバツグンでやり手の政治家という印象。
「実際は、どんな人物でどんな考えを持った人なんだろう?」
と思い、泉氏の本『日本が滅びる前に(集英社新書)』を買って読んでみました。
読んでみると、子育て支援策を突き進めた泉氏のバックグラウンドや、現在の官僚政治の問題点などがよく分かりました。
泉房穂氏が全国的に知られるようになったのは、やはりパワハラ騒動がきっかけでしょう。
2019年にテレビで報道されまくった、このニュースです。↓
当時、明石駅前の交差点の安全性・利便性を高めるための道路拡張工事が予定されていたのですが、
その用地買収が全然進んでいなかったことに腹を立てて、泉氏が市職員をはげしく叱責してしまった、という事案です。
パワハラ発言があったのは2017年でしたが、実際にニュース報道で問題になったのは2019年。明石市長選の3か月前でした。
その後、泉氏はパワハラ問題を理由に市長を辞職しましたが、その後市民の支持を受けてその年の市長選で再当選しています。
その当時、私は
という点から、「これ、反対勢力にハメられたんじゃない?」という印象を持ってましたが、実際のところはどうなんでしょう。
2024年の兵庫県知事のパワハラ騒動→再当選の流れとかなり似ているので、それっぽいですよね。
パワハラ騒動は本題ではないのでここらへんにして・・・
本を読んで泉氏の経歴を初めて知ったのですが、この人すごいですね。
まさにエリート中のエリートですよね。
しかし、よくいる頭の良いだけのエリートや「親も東大なんで…」というタイプのエリートではなく、ど根性型・叩き上げ型のエリートです。
詳しくは上の動画の 5:30~ をご覧になるとわかるのですが、簡潔にまとめると
という感じ。
まさに「ど根性」です。明石市長になって実績を残したのもうなずけますね。
泉氏は市長時代、特に子育て支援策に力を入れていました。例えば、所得制限なしで「5つの無料化」を実現しています(p22,23)。↓
このような子育て支援策を矢継ぎ早に行っていった結果、明石市の人口は増え続け、経済も好転していったそうです。
通常、こういう無料化をやる際には所得制限を設けますが、泉氏はそうせずに年収が高い世帯も無料化の恩恵が受けられるようにしました。
これは、
家計にゆとりのある所得の中間層を含めて支援すれば、中間層はお金を使ってくれる。
↓
消費が増えて市の経済が回る
↓
結果的に市の財源は潤う
というロジックです。
実際、明石市の所得制限なしの子育て支援は評判となり、中間層が明石市に移住。その際には戸建て住宅・マンションを買うので、まずは建設業界が潤いました。
他の業種にとっても、購買力のある所得中間層の増加は企業の売上増につながります。
市にとっても、納税額の多い中間層が増えることは財政にプラスになる。
このように、一見すると財源を圧迫しそうな「所得制限なし」の施策は、結果的に経済を回して財源を潤すことにつながったわけです。
本書で著者の泉氏が繰り返し主張しているのは、
有効な少子化対策や子育て支援策が出来ないのは、政治家にやる気がないから
ということです。
では、「やる気がない」とはどういう意味か?
市長などの自治体の首長は本来、人事権・予算編成権という強い権力を有しています。
ですが、この2つの権力をきちんと行使している市長は数少ないと泉氏は指摘します。
市長は人事権と予算編成権という2つの権利を持っています。ところが、全国を見回してみてもその権利を行使している市長はほとんどいません。
…(中略)… 私が市長になるまでの明石市の人事権のほとんどは、人事当局(総務局職員室)が握っていました。人事当局が人事をして、最後に判だけ市長に押させる。
…(中略)…2011年、市長に就任したばかりの私が人事権を行使しようとしたところ、「市長には、人事権は実質的にはありません」と人事当局から激しい抵抗を受けました。
…(中略)…予算案にしても各課、各部で若干抑えながら調整されたものが市長のところに上がってきて、市長である私のすることといえば人事と同じく、判を押すだけの状況でした。
…(中略)…こういった役所のやり方は、明石市に限らず全国どこでも似たりよったりの状況です。(p59,60)
もし市職員の意向に逆らって人事権と予算編成権を行使しようとすれば、激しい抵抗を受けることになります。
なので、この2つの権利をきちんと行使している市長はほとんどいないということです。
本当に市民のためになる政策を実行するには、人事権と予算編成権を適切に行使しないといけないのに。
「抵抗を受けようが、脅されようが、嫌がらせを受けようが(p61)」、やる気があれば2つの権限を行使することはできるはず。
「明石市で俺が出来たんだから、他の市町村の市長たちも出来るはず!」
「出来ないのは単に、やる気がないから。やる気になれば出来るよ!」
と泉氏は言っているのです。
泉氏は、実効性のある十分な子育て支援策や少子化対策は、増税や社会保険料増額などせずとも予算を見直して無駄を省けば、実現可能だと言っています。
実際、上で挙げた明石市の「5つの無料化」政策のための必要な予算は約34億円でしたが、これは明石市の予算全体2,000億円のたった1.7%にすぎない(p19)。
これくらいの額なら増税などしなくとも、無駄を見直して予算を適正化すれば実現可能だということです。
そして、これはどの自治体でも同じ状況のはずだと。
明石市で出来たのに他の自治体で実現できていないのは、市長のやる気がないからだと泉氏は指摘します。
つまり、抵抗や嫌がらせに負けずに人事権・予算編成権をちゃんと行使すればいいのに、それをしていない!ということです。
泉氏は、市町村だけでなく国政でも同じ状況だと主張します。
つまり、必要十分な少子化対策・子育て支援策を国全体で行うのに新たな財源は必要ないはずで、国のトップである内閣総理大臣が権限を行使すれば、すぐに有効な政策を実行できるはずだと。
それが出来ないのは官僚などからの抵抗に屈しているからで、抵抗や圧力に負けずにトップダウンでやればよい!
ということです。
もし私が今、総理大臣になったら「子ども予算を倍にするので財務省、各省庁で調整して下さい」と言って終わりです。
総理大臣には閣僚を任命できる権利があり、さらに各大臣は事務次官を任命できるため、実質総理大臣が内閣の人事権を握っています。この権限をうまく使った各省庁を動かせばいいだけです。
…(中略)…つまり、総理大臣が本気になり、「子ども予算を2倍にする」と腹をくくればいいだけなのです。(p158,159)
日本では現状、人事権も予算編成権も中央官僚に握られています。
予算案は財務省が編成したものを政府が最終調整するだけですし、人事についても抜本的な再編や人員削減(効率化)を行おうとすれば猛反発にあってしまいます。
泉氏は有名な社会学者であるマックス・ウェーバーの言葉を借りて、官僚が政治をコントロールすることの問題点を指摘しています。
「官僚は政治をなすべきではない」
「最良の官僚は最悪の政治家である」
という言葉です(p156)。
官僚には、
という特徴があります。
これまでのように官僚に政治を牛耳られているかぎり、日本の政治は良い方向に転換しないし、国民の生活が楽になったり未来に希望が持てる社会にはなり得ないということです。
「市長 v.s. 市職員」という構図と同じように、総理大臣が権力を行使しようとすると官僚からの猛反発にあうことは間違いありません。
例えば、トップダウンで総理が予算を大幅に変えたり、省庁再編を行おうとした場合です。
逆に言えば、官僚からの反発や抵抗勢力に負けずに断行できれば、政策は実現できるということ。
防衛費でミサイルをあれほど買えるのだから、総理大臣がちょっと本気になれば「子ども予算倍増」も一瞬で済む話です。
結局は総理大臣も財務省の抵抗に屈しているのでしょうが、日本のために一刻も早く本気になってくれることを望むばかりです。(p161)
本書を読むと、泉氏は彼の明石市長時代の成功体験から
「明石市で出来たことは他の市町村でも出来る。」
「市町村だけではなく、都道府県でも出来る。」
「総理大臣が本気になれば、国でも出来る。」
という考えを持っていることが分かります。
これには同意したいし、そのように信じたいところなのですが、正直かなり疑問に感じます。
というのは、敵の大きさ・多さ・強さが全く違うからです。
市長として対決する抵抗勢力は、市職員・市議会議員・既得権益を持つ地元企業…これくらいです。
一方で、国を本気で変えようと決意した総理大臣が立ち向かわないといけないのは
などなど。敵は多いし強いし、結託して立ち向かってくるし・・・。
彼らは、ありとあらゆる手段(合法・非合法を問わず)で総理大臣を妨害しようとするはずです。
改革を断行するためには、このような敵対勢力に負けずに頑張らないといけません。
そんな骨のある政治家が現れるのか…?
というと、ちょっと個人的には期待を持てないです。
「まぁ、国では無理ですよね」という自分の考えを見透かしたように、泉氏は政治を変えるための3つの方向性を本書で示しています。
それは
の3つです。
横展開はすでに全国の一部自治体で始まっていますし、一種のトレンドになりつつあります。
縦展開は、いきなり国は厳しいと思いますが、まずは兵庫県や近隣の県から始めて上手くいけば、それが全国の都道府県に広がることは期待できます。
明石市モデルの市町村・都道府県がスタンダードとなれば、国民の感覚として
「え、なんで国はやらないの?」
という雰囲気・世論になっていくはずで、その世論に後押しされた総理大臣が抵抗に負けずに改革を実行できるかもしれません。
つまり、横展開→縦展開という順番で進んでいく、ということです。
そして、個人的に最も重要だと感じるのは3つ目の「未来展開」です。
多くの人が政治を揶揄したり、バカにしたり、あるいは自分の利益のために利用したりする中で、政治がとことん汚いものになってしまいました。
でも本来の政治というのは、私たちの社会をよりよい形に変え、暮らしやすくすることです。その原点に立ち、まっとうなことをまっとうに行うだけの、きわめてシンプルなものです。
政治や選挙をバカにするのではなく、胸を張って将来、僕は政治家になりたいというような子どもを育てることが、みんなの未来をつくることになります。それが「こども政治塾」にかける私の想いです。(p203)多くの子ども・若者にとって政治とは、「自分とは関係のない遠いもの」「金に汚い大人たちがやるもの」「嘘をついても平気な人たちがやるもの」という、マイナスイメージの存在になっています。
まっとうな政治とは何か?を学んだ子どもたちが増えれば、その政治を実現したいという情熱を持つ若者が増える。
その結果、官僚に立ち向かえる気骨の有る政治家が増える。
そして、最終的に日本が良い方向に変わる。
…こう想像するのは楽観的かもしれませんが、本書から感じる泉氏の情熱を考えると、そのような未来が訪れる可能性も低くはないのではと思います。
確かに、政治の本来あるべき姿とまっとうな方法論を学んだ子どもたちがたくさん増えたのなら、その子たちが大人になったとき、日本の政治は劇的に変わるのかも?と期待してしまいます。
泉氏が本書の中で一貫して言っていることは、
政治家が本気になってやる気を出し、抵抗に負けずに権力を行使すれば、世の中は良い方向に変えられる。
ということです。
ただ単に日本の政治の現状を批判するのではない、前向きな姿勢が泉氏の文章全体から感じ取れます。
政治に絶望している、半分以上あきらめている。
そんな大人にオススメの本です。
どうも、Mr. しめじ と申します。
私は子どもの頃から走るのが嫌いで、普段から「出来るだけ走らない」ということを常に意識して生活してまいりました。
え?走るのがそこまで嫌いな理由?
走ると息が切れるし、疲れるし、頭痛のきっかけになるし、最悪ぜんそくの発作が出るし、そもそも人よりも走るのが遅いし、汗かくし、自転車とかの乗り物のったほうが早いし楽だし、歩くほうが好きだし・・・
とにかく嫌いなのです。
なので、もちろんジョギングが健康に良いというのは情報として知っていますが、街なかでジョギングをしている人を見ても
理由もなく走るとかアホなの?頭だいじょうぶ?
と、失礼ながら冷めた目で見ていました。
そんな私ですが、ここ3,4ヶ月で完全にジョギングを習慣化してしまったのです。
いや、たった3,4ヶ月で「完全に習慣化」ってwww
いやいや、走るの嫌いガチ勢にとって、この変化は革命・天変地異レベルなのですよ。分かる人には分かるはず。
ということでこのページでは、走るのが嫌い&苦手すぎる人間がどのようにしてジョギングを習慣化したのか、その経緯やコツをご紹介したいと思います。
まずは、走るの大嫌い人間のワタクシが、どうしてジョギングなんか始めようと思ったのか?です。
いやいや、「ジョギング始めよう」だなんて思うはず無いじゃないですか笑
勘弁してくださいよ笑
腹立つなお前
真面目な話、「ジョギングを頑張ろう!」というテンションでスタートしたわけでは決してないです。
きっかけは、ジムに行きはじめたことです。
ジムといっても、筋トレガチ勢が集まるようなジムではなくて、市営のジムです。
「筋肉つけてマッチョになりたいなー」
と思って、1回300円くらいで使える市営のトレーニングジムに行き始めました。
そして初回利用時のイントロダクションで、トレーナーの方から、オススメのトレーニングの順番を説明を受けました。
ざっくりいうと、
軽い有酸素運動5分 → 筋トレ(マシン)→ ガッツリ有酸素運動
という流れです。
最初の「軽い有酸素運動」というのはエアロバイクで、ウォーミングアップ目的。
最後の「ガッツリ有酸素運動」というのは、トレーナーの方には「走ってください!」と言われたのですが、走れるわけないのでウォーキングしてました。
こういう経緯で、なぜかウォーキングをはじめてしまったわけです。
走るのは無理だけど、ウォーキングならまぁ許してやるか。
というテンションだったはずです。
しかし、結果的にこのウォーキングがとっても良かった、効果的だったと今は思います。
「歩くだけなら、そこらへんの道を歩いたらいいだろ。タダだし。」
というツッコミが入ると思います。
しかし、走るのが嫌いな人々にとって、「そのへんの道を健康維持目的で歩く」という選択肢はほぼ無いのです。
基本、運動は嫌いなのです。
そのため、「ジムでランニングマシンでウォーキングする」というのは、とっても有効。
ジムに行ったら筋トレしないといけないし、ついでにランニングマシンも乗っておくか
こういうノリで、わりとウォーキングを続けることができます。
ただし、月額数千円とか1万円とか、そういう後戻りできないジムはオススメできません。
「どうせ辞めるんだろうな」という予感が自分の足を引っ張り、その通りになってしまいます(同じ経験ある方は多いはず)。
そうではなく、1回1回の料金で使える公営(区営・市営・町営・村営)のジムを使いましょう。
そうするとハードルがガクッと下がって気楽になり、続けられる確率が高まります(と思います)。
ランニングマシンで歩くことのメリットは、他にもいくつかあります。
まずは、足腰への負担が軽いということです。
地面を歩くよりも、圧倒的に負担が軽いです。
ランニングマシンのベルトは柔らかいし、手すりがあるし、ベルトが動いて補助してくれるし笑
一番やってはいけないのは、怪我をしてしまうことです。
若い人ならともかく、中高年にとって足腰の怪我は冗談抜きでその後の人生に影響しかねません。
いきなりアスファルトの地面を、張り切ってブリブリ歩いてしまうと、けっこう大きな怪我リスクがあります。
はじめは優しいランニングマシンに乗って、足腰・足首などの筋力と柔軟性を少しずつ向上させていくのがオススメです。
もう1つのランニングマシンのメリットは、「ウォーキングからランニングへの移行が簡単」という点です。
ランニングマシンでは、ボタン一つでベルトの速度を変えられます。
「ちょっと走ってみようかな」と思ったら、速度調整のボタンを押せばベルトの速度が上がります。
そうすると走らざるを得ません。
外でウォーキングしているときに「走ろうかな」と思って、実際に走り出すのはかなりハードルが高いです。
またランニングマシンでは、「200mだけ走ろう」「400mだけ走ろう」「1分間だけ走ろう」という微調整が簡単です。正面のモニタを見れば、どれだけの距離や時間を走ったのかがすぐに分かるからです。
このように、ウォーキング→ランニング(ジョギング)への移行が、ランニングマシンを使うと容易になるのではと思います。
あとは副次的な効果ですが、ジムに通うことで多分筋トレもするので、筋力が付きますし、見た目も格好良くなる可能性が高いです。
いや、筋トレがメインで有酸素運動(ウォーキング)がサブですね、本来は。
ジムのランニングマシンでウォーキングを始めて、数回~10回くらいやってみると、だんだん飽きてくると思います。
そして
あれ、オレ(ワタシ)、なんで歩いてるんだっけ?
という疑問が湧き上がります。走るの嫌いガチ勢にとっては、しごく当然の疑問です。なぜ忘れていたのでしょうか?というレベルの、初歩的な疑念です。
「ジムに来て筋トレして歩く」という一連のルーティンがあるから、それに従って歩いているわけだけど、さすがにウォーキングに飽きてくるタイミングが来るはずです。
ウォーキング、時間かかるし暇なんだけど笑
みたいな感じです。
こういうタイミングがきたら、これまでのウォーキングで歩いていた距離と同じ距離を、今度はジョギングも交えてフィニッシュしてみます。
たとえばこれまで 4km/h のペースで30分ウォーキングしていたなら、距離としては2kmくらい歩いています。
これの半分くらいを走ってみるわけです。
400m Walk → 400m Run → 400m Walk → 400m Run → 400m Walk
というように、ウォーキングでジョギングを挟むように、400mずつ交互に繰り返していきます。
そうすると、必ずウォーキングの方が多くなるので楽ちんですが、確実に走ることが出来ます。
ウォーキングのほうが多いという安心感はけっこう大切だと思います。
ジョギング(走り)を挟むことで、時短にもなるし、飽きもこないので、ちょっとだけ楽しくなるはずです。
上のように、ランニングマシンで「歩く走る」を繰り返していると、段々とまた飽きてきます。
そして、
これって、歩く必要ある?
と感じるタイミングがくるはずです。
走るのがそこまで辛くないし、全部走っても大丈夫なんじゃないの?
と思ってしまう時がくるのです。
このタイミングがきたら、その自分の直感を信じて、走り続けてみてください。たとえば1kmとか。
走り続けてみると、
ああ、やっぱり気のせいだったわw
とか
意外と走り続けてもイケる!すごい!
というようなフィードバックが何かしら得られます。
そうしたら、「歩きは無しで、ゆっくりもいいから走りだけでやってみよう」とか「800m連続のRunを挟もう」とか、色々と変化を加えられるはずです。
その日の体調や疲れ具合を見ながら、走る距離を調整していって、無理のない範囲で。
このような試行錯誤を繰り返していくと、最終的には、ウォーキングからジョギングへの移行が自然と達成できていると思います。
ランニングマシンでのウォーキングからジョギングに移行できそうと感じたら、ためしに30分連続で走れるかやってみます。
速度はかなり遅めでOKなので、30分連続で走り切ることを最優先にしてスタートします。
はじめて30分走りきったときの達成感は、かなり気持ちいいはずです。
自信にもなるし、走るだけでこんなに楽しい気持ちになるなんて、というふうに驚きも感じると思います。
こうなったら、ランニングマシンから卒業して、自宅周辺の道を走り出したほうが楽しくなります。
景色や路面の変化など、ランニングマシンでは感じられないような刺激があるからです。
走るのが嫌いな理由には色々とあるかと思いますが、その中でも一番大きいのが
走るとキツい・疲れる・シンドい
ということじゃないでしょうか。
走るとキツくなるのは、主に筋肉と肺(呼吸)ですよね。
私の場合は幼いころ喘息持ちだったこともあり、走るとすぐにゼーゼーするので、呼吸がキツくなります。
足腰の筋肉のキツさはそこまででもない、というか、筋肉が疲れる前に肺がやられるというのが実際のところだと思います。
ですが、ジョギングをしていても呼吸が辛くない、肺がキツくならない方法を教わって実践したところ
マジでキツくない!なにこれ凄い!
と、驚きの効果を実感しました。
ということで、この呼吸が辛くならないためのコツをシェアします。
ジョギングをしているとき
呼吸が苦しくならないように、できるだけたくさん酸素を取り込まないと!
↓
なるべく大きく、深く、回数を多く呼吸したい!
↓
ゼェゼェハァハァしてしまう
↓
脇腹が痛くなったりしてキツくなる
となってませんか?
「苦しくならないように頑張って呼吸しなきゃ!」と思って、深く大きく空気を吸い込むようにすると、逆に呼吸は苦しくなってしまいます。
そうではなく、1回の呼吸で吸い込むのは「腹八分目」か「腹七分目」のイメージにしてみてください。
「まだ吸えるけど、このへんにしておいてやるか」というタイミングで、息をはき始めるのです。
息を吐く方は、長くたっぷりと全部吐き切るイメージ。吸うのは腹八分目で、少し物足りないくらいでOK。
こんなイメージで呼吸してみると、息が苦しくなりにくいはずです。
なぜ苦しくなりにくいのか?は、私は正直よく分かってません。
しかし、この「腹八分目」呼吸法だと、腹筋に適度に力が入り続ける感覚で、しかも横隔膜の上下動が小さくなる気がします。
この感覚が、呼吸が苦しくならないことにつながっているのかもです。
ジョギングをはじめた当初というのは、「毎日走らないと、また三日坊主になっちゃう!」という不安感から、出来るだけ走る回数を増やしたくなるかもしれません。
でも、回復が不十分な状態で走ると、当然シンドいです。
シンドいと、「走るのが嫌い」という本質的な部分が誤魔化しきれなくなっちゃいます。
走るのが嫌いなことを思い出しちゃったら、すぐに辞めちゃいます。
なので、走ったら十分に休息を取って、リフレッシュしてから次のジョギングを行うようにしましょう。
目安としては、2,3日(3,4日)は間隔あけたほうが良いと思います。
怪我をしてしまうと、その怪我が治り切るまで走れず、そうこうしているうちにジョギングの習慣が終わってしまう恐れもあります。
怪我をしないことが最優先で、慎重にジョギングしていくのが本当に大事だと感じています。
ジョギングが健康に良いのは自明というか、誰しもが知っている当たり前のことですよね。
ジョギングのメリットとしては、例えば
などが挙げられます。
これらの中でも、私がとくに強調したいのは、ジョギングによるメンタルヘルスへの好影響です。
具体的には、うつ病などの精神病の予防、認知症の予防の効果です。
ジョギングやウォーキングなどの有酸素運動をすると、脳内でセロトニンという神経伝達物質が増えるという事実があります。
セロトニンは精神の安定化にとても重要で、足りないとうつ病や統合失調症につながる危険があります。
また、有酸素運動が脳神経細胞の修復や新生を促すことも知られていて、セロトニン増強効果と合わせて、精神病の予防や認知症の予防にもつながってくれます。
ジョギングをした後は(している最中も)なんだか気持ちがスッキリとしますが、アレは勘違いではなく、脳の中で実際に起きている現象なのですね。
ということで、体力増強やダイエット効果に加えて、メンタルヘルスの面でもジョギングはめちゃくちゃ良い効果を持っているのです。
有酸素運動のメンタルへの効果については、こちらのページで詳しくまとめています!
以上、「走るのが嫌い」「走るくらいなら電車に乗り遅れても仕方ない」「走るのだけは無理」という層をターゲットに、ジョギングを習慣化する方法をお話いたしました。
先日、私が脚が遅くて走るのが大嫌いなことを知っている中高時代の友人に、冒頭のジョギングアプリの記録(何キロ走ったか)を見せて自慢してみました。
え、誰かに脅されてるの?大丈夫?
というのが、第一声でした笑
それくらい、あり得ない変化だと自分でも思います。
なので、どれだけ走るのが嫌いでも、ジョギングが習慣化する可能性は十分にあるのだと感じてます。
このページでご紹介した流れがご参考になれば嬉しいです。
いままで出来なかったことが出来るようになるのは、何歳になってもメチャクチャ楽しいです。
ぜひやってみてください!
ということで、
レッツラン♪♫
「レッツラン」はさすがにダサすぎ
どうも、Mr. しめじ と申します。
いきなり自分語りで恐縮なのですが、私は10年ほど前にうつ病を発症して、会社を休職したことがあります。20代の後半のころです。
そのとき、産業医の心療内科の先生は「とにかく毎日10,000歩以上ウォーキングしてくださいね」と指導してくれました。
いや、うつ病で休んでるのに歩くの?
普通に考えて無理でしょ・・・。
と、心の中でツッコミを入れたのを今でも覚えています。
とはいえ私は会社にチクられるのが怖かったので真面目な性格なので、大人しく先生の言うことを聞き、歩数計を買って毎日10,000歩以上歩いてました。
……というのが理想でしたが、実際には2,3日に1回くらい10,000歩を超えるのが精一杯。
調子が悪いときなどは、ほぼ歩けないという週もあったと思います。
しかし毎週の診察の際に
どうでしたか?歩けましたか?(ニッコリ)
と先生が優しく聞いてきて、そのときに歩数計の記録を見せないといけないのです。
サボったのがバレるのが怖かったので、歩数計を手に持ってフリフリしたりもしました。けっこう不真面目な患者だったと思います。
そんなこんなで、中途半端に休んだり頑張って歩いたりしながら過ごしていたのですが、最初の休職期間中にはうつ病はあまり良くならず。
結局、会社に復帰しても再発して退職(→転職)することになりました。
うつ病はその後の3年~5年で段々とよくなり、仕事も別の職種で独立したりして、自分ではうつ病は今では完治したと思っています。
いや、「完治した」というよりも、うつ状態をコントロールするコツが分かってきたという方が正確かもしれません。
具体的には、運動(ジョギングや筋トレ)と食事・睡眠に気をつけることです。
振り返って考えると、発症直後の数ヶ月~1年の間にウォーキングをもっと真面目に取り組んでいれば、もっとスムーズにうつ病も良くなっていただろうな…と感じます。
そう思えるのは、運動がメンタルに与える好影響を今さらながら実感しているから。
もう1つの理由は、ウォーキングなどの有酸素運動が脳内セロトニンを増やす仕組みを最近知ったからです。
そこでこのページでは、ウォーキングがうつ病(や統合失調症)に与える好影響と、その仕組みについてまとめて見たいと思います。
私は医者でも医療従事者でもないため、あくまでもリサーチ結果のまとめです(参考文献などは明示します)。
うつ病で苦しんでいる方や、患者さんを見守っているご家族の助けに少しでもなれば嬉しいです。
このページは少し長くなりそうなので、最初に要点のポイントを箇条書きでまとめておきます。
セロトニンは神経伝達物質の一つ。
うつ病や統合失調症の人の脳には、セロトニンが少ないことが知られています。本などでは「セロトニンが枯渇している」「セロトニン欠乏」と表現されることも多いです。
脳内セロトニンは数多くの面で精神・身体に関わっていますが、メンタル面に関していえば
などが挙げられます。
継続的かつ過度なストレスにさらされるとセロトニン神経系が弱り、脳内セロトニンが減ってしまいます。
うつ病治療で使われる服用薬「SSRI」は、セロトニンの再取り込みを阻害して脳内セロトニンの濃度を高める効果があります。
SSRIを飲むと多くの場合うつ状態は改善されるので、セロトニンの減少はうつ病の原因の1つと考えられているのです。
また、統合失調症の原因はハッキリと解明されていませんが、ドーパミンの分泌量異常に起因しているというのが有力な説です。
ドーパミンが過剰になると幻覚や幻聴などの陽性症状が現れ、ドーパミンが欠乏すると思考力低下や物事への関心の低下などの陰性症状が現れます。
セロトニンの機能の1つに「ドーパミンとノルアドレナリンのバランス制御」というものがあります。
セロトニンの分泌量が少なくなってしまうと、ドーパミンが過剰になったり欠乏したりします。
つまり、セロトニンも統合失調症に間接的に関わっているわけです。
実はセロトニンは脳内だけではなく、腸内や血液中にも存在しています。
というか、セロトニン全体のうち脳内に存在するのはたった2%。
残りの98%は小腸で作られ、腸の蠕動活動(排便を促す動き)を促す役割を持っています。98%のうち8%は血液中に移行し、血管収縮などに関与します。
脳と血液のあいだには血液脳関門という「関所」があるため、小腸で作られた98%のセロトニンは脳内に入ることができません。
つまり、脳内セロトニンとそれ以外のセロトニンは別物と考えた方が良いということですね。
なので「うつ改善のためにセロトニンを増やそう!」というときのセロトニンとは、脳内セロトニンのことを言っています。
腸内のセロトニンは蠕動活動に関与しますが、蠕動活動は自律神経(交感神経・副交感神経)と強く関係しています。
そのため、腸内のセロトニンも間接的に精神(メンタル)に関係しているといえます。
うつ病の薬の第一選択は、SSRIと呼ばれる種類の薬です。
SSRIは”Selective Serotonin Reuptake Inhibitor”の略で、日本語に訳すと「選択式セロトニン再取り込み阻害薬」となります。
SSRIは神経間のセロトニンの再取り込みを阻害するため、結果的に脳内のセロトニン濃度が高まります。
その結果としてうつ状態の改善が期待されるわけです。
また、統合失調症の治療薬でもセロトニンに作用するものが多いです。
過剰になったドーパミンをブロックしつつセロトニンの働きを増強する効果を持つ薬です(SDAM)。
つまり、うつ病の場合も統合失調症の場合も、自分で脳内セロトニンを増やすことができるとしたら、症状改善につながる可能性が高いということです。
これまでの研究で、うつ病・統合失調症患者の脳では大脳新皮質で神経細胞や神経伝達物質が減少していることが判明しています(A)。
また、「うつ病・統合失調症患者の脳内の扁桃体には共通の損傷が見られる」と主張する医師もいます(B)。
つまり、うつ病や統合失調症とは、セロトニンやドーパミンなどの神経伝達物質の単なる分泌異常ではなく、ましてや決して「本人の気分」の問題などではなく、脳の損傷を伴う病気だということです。
このことは、うつ病・統合失調症を治すためにはダメージを受けた脳を修復する必要があるということを意味します。
以前は「成人の脳は修復不可能」というのが通説でしたし、いま現在でも私たち一般人の間ではこの認識を持っている人が多いのではないかと思います。
しかし、ここ10~20年の研究の結果、成人の脳でも神経細胞の新生(あらたに神経細胞が生まれること)が起きていることが明らかになっているのです。
神経細胞の「もと」となる未分化の細胞は神経幹細胞と呼ばれますが、この神経幹細胞が脳のダメージ修復のカギとなります。
そして神経幹細胞は慢性的ストレスによって減少し、うつ病治療薬のSSRIによって増加することが分かっているのです。
私たちは、成体脳の神経幹細胞の動態と動物の気分や情動との関係を明らかにしたいと考え、マウスのストレスモデルを作製して神経幹細胞の動態を解析しました。
その結果、強制水泳というマウスにとってストレスになることを慢性的に負荷することによって、神経幹細胞の数が減少することがわかりました。
(中略)
強制水泳ストレスのあと、通常の飼育下だと3週間後にも神経幹細胞の減少は変わりません。
フルオキセチンやイミプラミン(※注)といった抗うつ薬を飲水に混ぜて投与すると、神経幹細胞の数が正常まで回復しました。
ちなみに、抗うつ薬に神経幹細胞に直接働きかける薬理作用はなく、セロトニンを増強する効果を介してこのような効果を発揮すると考えています。
※注 フルオキセチン・イミプラミンはSSRIの一種。原文には文字装飾はありません。
『慢性ストレス下の成体脳神経幹細胞』-滋賀医大統合臓器生理学統合生理研究内容
ここでポイントなのは、抗うつ剤(SSRI)自体には直接的に神経幹細胞を増やす効果はなく、SSRIによって増加した脳内セロトニンが神経幹細胞の増加に関与している(だろう)ということです。
また、大脳新皮質でも同じようなことが起こっていることが分かっています。
本研究グループは、成体マウスに世界で最もよく使われている抗うつ薬の1つであるフルオキセチンを投与し、組織学的手法を用いて大脳皮質に存在する神経前駆細胞であるL1-INP細胞の増殖や分化について解析を行いました。
(中略)
フルオキセチンの投与によって、成体の大脳皮質ではL1-INP細胞が増殖するだけではなく、L1-INP細胞によって新しい抑制性神経細胞の産生が促進されることが分かりました。
共同発表:正常な成体マウスの大脳皮質で、神経細胞を新生させることに成功 -科学技術振興機構
(※ 神経前駆細胞:神経幹細胞から少しだけ分化した神経細胞の「もと」となる細胞)
参照した文書では、「SSRIによるセロトニン増強の効果」とは書かれていませんでしたが、セロトニンが神経細胞新生に何らかの好影響を及ぼしていることは予想できます。
ちょっとムズカシイから分かりやすく言って
脳内セロトニンを増やしたら、減っちゃってる脳の神経細胞が増える(かも)!
ということですね。
ちょっと乱暴かもですが、まとめるとこうです。
うつ病や統合失調症では脳の神経細胞が減っている。
↓
SSRIを飲むとおそらくセロトニン増強の影響で、神経幹細胞が増える。
↓
脳のダメージが修復され、症状が改善する。
「それじゃあ、SSRIなどのお薬に頼らず、自力で脳内セロトニンを増やせたら最高だよね!」
というのが、このページで私が最も伝えたいことなのです。
A:『共同発表:正常な成体マウスの大脳皮質で、神経細胞を新生させることに成功』-科学技術振興機構
B:『心の病は脳の傷: うつ病統合失調症認知症が治る』 松澤大樹 著
『慢性ストレス下の成体脳神経幹細胞』-滋賀医大統合臓器生理学統合生理研究内容
では、どのようにして自力で脳内セロトニンを増やすのか?
そのカギは、セロトニンの材料(前駆物質)であるトリプトファンというアミノ酸です。
トリプトファンは全部で9つある必須アミノ酸のうちの1つで、体内で合成できないため食事で摂ることが「必須」。
肉・魚・牛乳や乳製品・卵・大豆・一部の野菜や果物に含まれています。
というかタンパク質が豊富な食品なら、少なからずトリプトファンが含まれていると言って間違いではないはずです。
それくらい、ありふれた栄養素です。
タンパク質は多数のアミノ酸が複雑に結合した物質ですが、トリプトファンはこのタンパク質を構成するアミノ酸として食品中に存在しています。
たとえば豆腐を食べると、豆腐に含まれるタンパク質は胃腸で消化分解されて、最終的には何種類ものアミノ酸になります。
このアミノ酸の中にトリプトファンが含まれているということです。
タンパク質はサイズが大きいのでそのままでは血液中に取り込めませんが、消化分解によってアミノ酸ほどの大きさ(小ささ)になると、血液中に取り込むことができます。
なので、消化分解によって生じたアミノ酸は血液中に移行し、必要に応じて体中の細胞に運搬されていきます。
血液中に取り込まれたトリプトファンは、そのほとんどがアルブミンというタンパク質と結合した状態で存在します。
血中のアルブミンは色々な働きをしますが、その中の一つが物質の運搬です。
血液中に入ってきた物質を吸着して結合し、結びついたまま血中を循環。必要な細胞にその物質を送り届けます。
血中に入ってきたトリプトファンのうち、90%がアルブミンと結合した状態(結合型トリプトファン)で、残りの10%は結合せずに単独で血中に存在しています(遊離型トリプトファン)。
ここまでの内容をまとめてみます。
脳内セロトニンは脳内でしか作られないので、セロトニンを作るためには材料のトリプトファンを血液から脳内へ運ぶ必要があります。
しかし、脳みそは非常に高機能かつデリケートな器官なので、物質を何でもかんでも取り入れるのはとっても危険。
そのため人間の身体には、「血液脳関門」という関所のような仕組みが備わっています。
血液脳関門は複雑なメカニズムで働いていますが、基本的にはサイズの大きなものは通過できず、通過するためにはサイズが小さくないといけません。
話をトリプトファンに戻します。
結合型トリプトファンは、アルブミンという非常に大きなタンパク質と結合しているため、サイズが大きすぎて血液脳関門を通れません。
一方、遊離型トリプトファンはサイズが小さく、血液脳関門を通過できます。
つまり血液中に存在するトリプトファンのうち、血液脳関門を通って脳内に入り込めるのは全体の10%に過ぎないということです。
以上のように、食事で摂取したトリプトファンは血中に移動しますが、そのうち脳内に入れる状態なのは全体の10%に過ぎません。
しかし、有酸素運動をすることで血中トリプトファンの脳内への取り込みが促進されることが分かっています。
その仕組みのポイントを箇条書きにすると以下の通りです。
順番に説明していきます。
どんな運動でも身体を動かすためにはエネルギーが必要となりますが、そのエネルギー源は主に「糖」と「脂肪」の2つです。
糖と脂肪のどちらがエネルギーとして使われるのか?は、運動の強度(キツい or 楽ちん)と運動の継続時間によって決まっていて、
ウォーキングのような低負荷・長時間の運動では、脂肪がメインのエネルギー源として使われることが分かっています。
上のグラフを見ると、低強度の運動のエネルギー源はほぼ全て脂肪で、強度が上がるにつれてグリコーゲン(糖)の割合が増えていくのが分かります。
また、その割合こそ違いますが、どの強度でも脂肪は一定量以上がエネルギー源として使われていることも分かります。
どんな運動でも、脂肪は少なからず使われる。
ウォーキングのエネルギー源は、ほぼ脂肪。
ということですね!
参考サイト及び画像出典
運動時のエネルギー代謝と糖質制限食|農畜産業振興機構
有酸素運動を始めると、そのエネルギー源として脂肪が分解されます。
脂肪の主成分は中性脂肪で、グリセリン(グリセロール)というアルコールの一種と、脂肪酸という物質が結びついた形をしています。
の緑の部分がグリセリン(グリセロール)で、ギザギザの部分が脂肪酸です。上図の例では、グリセリンにパルミチン酸という脂肪酸が3つくっついています。
どの種類の中性脂肪でもグリセリンの部分は共通で、逆に脂肪酸の部分は色んな組み合わせがあります。この脂肪酸の組み合わせによって、その中性脂肪(≒油脂)の性質が変わってきます。
脂肪酸キモすぎ・・・
確かに
だいぶ脱線しましたが、とにかく有酸素運動をすると、脂肪が脂肪酸(とグリセリン)に分解されるわけです。
そして、脂肪酸は血中へと入り込み、エネルギーを必要としている細胞(骨格筋など)に運搬されていきます。
画像出典
※4 Tripalmitoylglycerol(CC 表示-継承 3.0)
※5 グリセリン – Wikipedia
※6 脂肪酸 – Wikipedia
血中に入り込んだ脂肪酸は、前述したアルブミンというタンパク質に結合した形で身体中を循環します。
その際に、アルブミンと結合していたトリプトファンは手放されることになります。
アルブミン「トリプトファンとか持ってる場合じゃねぇ!脂肪酸を運ばないと!」
ということですね。
血中のトリプトファンには2つの状態がある、と少し上でお話しました。
有酸素運動をすると、アルブミンからトリプトファンが手放されます。
つまり、血中で遊離型トリプトファンが増えるということです。
遊離型トリプトファンは「脳の関所」である血液脳関門を通過できます。
なので、遊離型トリプトファンの割合が増えるということは、その分だけ脳内に入り込めるトリプトファンの量が増えるということを意味します。
トリプトファンはセロトニンの材料ですから、脳内のトリプトファンの量が増えれば、脳内で作られるセロトニンの量も増えてくれるというわけです。
最後に、もう一度この一連の流れを整理してみます。
ここまでお話したロジックは、もしかすると机上の空論のように見えるかもしれません。
マジでそれ。なんか騙されてるような・・・
しかし、運動科学やトレーニング界隈では、実はこのロジックはかなり前から「定説」となっているのです。
筋トレやランニング(長距離走)などの激しい運動をしていると、身体の筋肉はそれほど疲れていないはずなのに、なんだか身体が重く感じることがあります。
こういうときに感じる疲労は、脳が疲労を感じる「中枢性疲労」と呼ばれているそうです。
マラソンや高負荷の筋トレなど、日常では考えられないような激しい運動をすると、脳は身体を保護するためにストッパーをかけるのです。
もうやめて!これ以上は危険!最悪◯ぬぞ・・・
というように。
そして、この中枢性疲労を感じる仕組みとして、上でお話した
運動で血中脂肪酸増加 → 遊離型トリプトファン増加 → 脳内セロトニン産生増加
のフローが関係しているという説があるのです。
セロトニンは身体と精神に対して様々な作用をもつ神経伝達物質ですが、とくに睡眠やリラックス状態との関係性に注目されてきた経緯があります。
そのため、「激しい運動をきっかけに脳内セロトニンが増えるなら、それが中枢性疲労の原因に違いない!」となっていたのです。
ちなみに現在では、運動による脳内セロトニンの増加と中枢性疲労のあいだには、直接的な因果関係は無いという考えが主流です(トリプトファンを含む血中アミノ酸の関与は有ると考えられています)。
しかし、このような中枢性疲労に関する仮説とその検証の歴史は、
運動で血中の脂肪酸増加 → 遊離型トリプトファン増加 → 脳内セロトニン増加
というフローはたしかに実際に起っているし、決して机上の空論ではない
ということの証拠といえるのではないでしょうか。
しつこい
『疲労の分子神経メカニズムと疲労克服』(日薬理誌 2007年129巻2号2月号)
『運動・栄養と中枢性疲労発生機構 -TGF-βによる中枢性疲労発生と代謝調節-』(体力科学 2006 55巻)
ウォーキングが脳内セロトニンの合成を促す理由について、最近読んだ本で「リズム運動自体がセロトニン合成を促す」という説を知りました。
具体的には、このような文章です。
動物は、その名のとおり、自ら動いて(歩行のリズム運動)獲物を取り、それを噛んで(咀嚼のリズム運動)体内に取り入れ、血液に吸収された栄養物を、呼吸によって(呼吸のリズム運動)吸い込んだ酸素を使って全身の細胞にエネルギーとして運びます。
これが動物の生命活動の基本です。つまり「歩行」「咀嚼」「呼吸」の三つのリズム運動が、生命を維持する基本だということです。
この三つのリズム運動をつかさどる神経機構は「脳幹」に存在します。それらの構造の正中部(縫線核)に「セロトニン神経」が位置しています。
ようするに、歩行・咀嚼・呼吸のリズム運動をしっかりと行うとセロトニン神経が活性化されるように私たちの脳はできているのです。
『医者が教える疲れない人の脳』p37(有田秀穂 三笠書房)
これは、ウォーキングに絡めて簡単に言えば、
ということです。
歩行や呼吸は、特に意識せずとも自然と出来ますよね。これは、脳幹という部分が自動でコントロールしているから。
そして、脳幹の正中線(中心線)に沿って縫線核という細胞集団が存在しています。
縫線核にはセロトニン細胞が集中していることが分かっています。
縫線核は中脳から脳幹の内側部に分布する細胞集団で、9つの神経核B1-B9よりなる。免疫組織学的手法によりセロトニン細胞の分布とほぼ重なる。
縫線核 -脳科学辞典
つまり、
セロトニン神経が多く集まっている脳幹は、歩行と呼吸をつかさどっている。
ウォーキングで歩行と呼吸というリズム運動を行えば、脳幹がフル稼働して、セロトニン神経も活性化される。
そして脳内セロトニンも作り出されやすくなる。
こういうロジックです。
トリプトファンうんぬんの小難しい話は関係なしに、歩行というリズム運動自体がセロトニン神経を活性化してセロトニン合成を促してくれるという説ですね。
ここまでは脳内セロトニンと運動の関係について書いてきました。
運動がうつ病・統合失調症改善につながる科学的根拠には、他にもう1つ有ります。
それは「運動がBDNF(脳由来神経栄養因子)を増やす」という事実です。
BDNF?ADSL?ISDN?
世代がバレますよ
BDNF(Brain-Derived Neurotrophic Factor):脳由来神経栄養因子は、神経細胞の生存・成長・機能亢進を調節し、神経新生を刺激・調整する、脳細胞の増加に不可欠なタンパク質です。
漢字多すぎだろ
簡単にいえば、脳の神経細胞の健康を維持して成長をサポートしたり、あらたに神経細胞が生まれるのを促進したり、そういう大事な仕事をしているのがBDNFです。
そして、このBDNFも運動によって量が増加することが分かっているのです。今から30年以上も前から判明していたそうです。
ある種の身体的運動は、ヒトの脳において、BDNFの合成を3倍程度にまで増加させる。この現象は、運動による神経発生や、運動による認知機能改善の仕組みの一つである。
脳由来神経栄養因子 – Wikipedia
運動が脳におけるBDNF発現を増強することは、1995年にNeeperらによって最初に報告された。
その後、運動によるBDNF発現増強は様々な脳領域(大脳皮質、海馬、線条体、小脳)や脊髄で起こることが、筆者らの研究を含め多数報告されている。
つまり、運動は多様な領域で神経栄養因子の発現を増強し、神経新生や回路機能の強化、神経保護作用など、神経機能の維持や可塑性の誘導にはたらくと考えられる。
運動が支える脳の健康 | 脳研コラム | 新潟大学脳研究所(脳研)
簡単に言えば、
脳の健康をキープする「お役立ち物質」が、運動するとメッチャ増える
ということですね。
前述したように、うつ病・統合失調症では神経細胞の減少が見られることが知られています。
運動によってBDNFが増えて神経幹細胞が刺激されれば神経細胞が増える。
その結果として、うつ病・統合失調症の症状改善につながる可能性がある、と言えるのではないでしょうか。
ここまで、小難しい話をマイペースで長々と続けてきました。
「運動がうつ病や統合失調症改善につながるのには、わりとしっかりとした科学的根拠がありそうだ」
そう思って頂けたら嬉しいです。
でももしかしたら「嘘っぽいんだよね~」「怪しい」「信じられない」と感じたかもしれません。
それでも全然OKです。
なぜなら、上でしたお話が全部真っ赤な嘘、デタラメだとしても、運動したほうが良いのは決まりきっているから。
適度な運動が健康に良いのは自明です。損することもなく、プラスにしかなりません。
ここまでのお話が全部ウソでうつ病・統合失調症の改善につながらなくても、少なくとも体力増強にはなります。
なので、これまでのお話が眉唾ものと感じても、ぜひウォーキングを毎日やってみてください。効果は期待せずに体力増強のつもりで始めてみて、症状が改善したら儲けものです。
時間にして10分15分もかかりませんし、疲れるほどやらなくてもOKです。
ということで最後に、具体的なウォーキングのやり方について簡単にまとめます!
日光が目から入ると、セロトニン神経が刺激されてセロトニン合成が促進されることが分かっています。曇の日の光量でも十分だそうです。
なので夕方や夜ではなく、太陽が出ている時間帯にウォーキングするのがベター。
また、セロトニンは睡眠覚醒をつかさどっているので、朝にバシッとセロトニンを出すと身体がシャキっとします。
なので理想なのは、朝の時間帯のウォーキングです。
もちろん、出来るだけ多く歩いた方が症状改善の効果は大きいはずです。
しかし、「外に歩きに行こう」と決心して実際にウォーキングする、うつ状態の場合はこれだけでもかなりハードルが高めですよね。
なので、5分10分でも良い。お日様の光を浴びるだけでも良い。
そう考えて、散歩気分、気分転換だと思って歩くのが最初は良いと思います。
慣れてきたら、歩数や継続時間も伸ばしていくと段々と楽しくなってきて、じょじょに症状も改善。さらにウォーキングが楽しくなる。
というような好循環に乗っていけるはずです。
でも最初はハードルを出来るだけ低くするのがポイントだと思います。
スマホには歩数計の機能が標準搭載されているので、ポケットに入れておくだけで歩数が計れます。
毎日の歩数を眺めていると、「これだけ歩いたんだ」とか「もう少し歩けるかも」のように、モチベーションの維持向上につながります。
スマホを見ながら歩くのは良くないですが、ポケットにしのばせてウォーキングしましょう。
バナナには、
が含まれています。
ウォーキングで脳内セロトニンをバシッと増やしたい!というときには、バナナはまさにうってつけの食べ物なのです。
食べるのも簡単ですし、何より甘くて美味しいです。
ということで、ウォーキングをする前には、バナナを一本頬張ってから出かけましょう。
雨の日はウォーキングできませんし、強風の日はウォーキングしたくないですよね。
それに、「今日はどうしても外に出たくない」という日は誰しもが有るはずです。
そういう場合には、ランニングマシンを用意して室内でウォーキングするのがオススメです。
ランニングなら、「テレビ番組を見ながら」「タブレットでネトフリを見ながら」「マンガを読みながら」ウォーキングが出来ちゃいます。
もちろん外でウォーキングするのがベストですが、歩いていることには変わりないです。
スキマ時間を使ったり、なんとなくやる気が出たときにランニングマシンに乗ってみたり・・・
で、トータルの運動時間はランニングマシンを導入することで増えると思います。
ウォーキングやりたいけど、どうしても始められない・・・
雨の日にウォーキングできないのが嫌だ
という場合は、ランニングマシンを購入してみてください。
ネットで普通に買えちゃいます。
長々と小難しい話を続けてしまいましたが、このページで伝えたいことは、結局はこの一言につきます。
ウォーキングを続けたら、うつ病も統合失調症も良くなるはず!
だから歩きましょう!
二言だな。
二言ですね。
冒頭でも書きましたが、今から10年以上前、うつ病で苦しんでいた私は医者に「毎日1万歩は歩いてください」と言われ、わけも分からずウォーキングを始めて中途半端に実践していました。
その当時に、ウォーキングがうつ病改善につながる仕組みを知っていたら、もう少し積極的・主体的にウォーキングできたと思います。
結果として、もっと早くうつ病は改善していただろうなと感じます。
とにかく、5分10分でも良いのでウォーキングをしてみると、なんだか頭がスッキリするのが感じられると思います。
そして、ウォーキングが終わった後は、なんとなく気分が良い。
このような「ちょっと気持ちのよい」プロセスを繰り返していくうちに、うつ病や統合失調症が改善するかもしれない。
こんな軽い気持ちでOKなので、ぜひウォーキングを始めてみてください。
「約束を反故にされた」というフレーズは、ニュースや日常会話でたまに耳にしますよね。
「ほごにされた」と読む、アレです。約束をすっぽかされたくらいの意味ですね。
こんな感じで、「反故にする」「反故にされた」という意味はなんとなく分かっていたのですが、
先日読んでいた漫画『薬屋のひとりごと(原作:日向夏 作画:倉田三ノ路)』を読んでいると、こんなセリフを目にしました。
この反故、捨てておいてね
これを見て私は「???」となったんです。
「反故」の見たことのない使い方だったので。
ということで調べてみたら、反故の語源や由来、紙に関連する知識が意外と面白かったのでご紹介させてください。
マンガ、面白いのでぜひ!
調べてみると、
反故(反古とも書く)とは、元々は書き損じて使えなくなった紙のこと。
ということが分かりました。
「反」という漢字には、反る・裏返すという意味があり、「故」には使い古したものという意味があります。
これが組み合わさった「反故」なので、裏返さないと使えない古い紙という意味になったと考えられているそうです。
だから、「この反故捨てておいて。」というセリフは、「その書き損じた紙、捨てておいて」くらいの意味になるということですね。
このように「反故」は元々、書き損じた紙という意味だったのですが
書き損じた紙=もう使えないモノ=役に立たないモノ・無駄なモノ
のように意味が転じていきました。
ということで、「約束を反故にされた」という使われ方がされるようになったのですね。
ビジネスシーンやニュース、日常会話で使われる場合は、次のような感じです。
「無効にする」「取りやめる」「取り消す」「キャンセルする」のような意味を、それっぽく伝えられるので結構便利ですね。
一方、元々の反故の意味(=書き損じた紙)で使う場合の例文はこんな感じです。
このように、書き損じた紙として使う場合もあるそうです。年配の方の会話では使うのでしょうか。
この意味で使うときは、反故紙(ほごがみ、ほごし)と言うと分かりやすいかもです。
反故について調べている過程で、ちょっと面白い豆知識をゲットしました。
それは、「冷やかし」「冷やかす」の語源です。
冷やかすの意味は
・ 相手が困ったり恥ずかしがったりするような言葉をかけてからかう。「仲がいいのを—・す」
・ 買う気もないのに、商品を手にとったり値段を聞いたりする。「露店を—・して歩く」
冷(や)かす(ひやかす) – goo国語辞書
のように、主に2つの意味があります。
反故紙が関連するのは、後者の意味(お店などで買う気はないのに見て回る)のほうです。ちなみに、こちらの意味で使うときは「素見す」とも書くそうです。
江戸時代、浅草山谷という地域には、反故紙を再生して作る「浅草紙」の職人が多く住んでいました。
浅草紙の主な用途は今でいうトイレットペーパーで、収集した反故紙を水で煮て溶かして作ります。
その工程で、煮た反故紙(だったもの)が冷えるのを待つ必要があるのですが、その待ち時間に職人たちは近くにあった吉原の遊郭によく散歩に出かけたそうです。
吉原に来たとはいえ、実際に遊女と遊ぶ時間的余裕(も金銭的余裕)もなく、職人さんたちはただ見て歩いただけでした。
そのため、その職人たちは「紙を冷やかして来た人」と呼ばれ、そこから「冷やかし」という言葉が生まれた。
という説です(参照『浅草紙によせて』山田卓良)
面白いですよね(私だけ?笑)
浅草紙の見た目や詳細については、こちらの学研のページでご覧いただけます。
反故には「書き損じた紙」という意味がある。
そのため、「約束を反故にされた」という使い方のほかにも、
「反故を回収してもらう」とか「反故紙の裏にメモを書く」といった使われ方もされる。
以上です!
他にも雑学や知的好奇心をくすぐるネタを書いたページがあります。よろしければどうぞ!
私には2人子供がおるのですが、上の子が2歳児で下の子が0歳児のとき、テレビで流れていたNHKの動物番組を眺めていたんです。
子どものおしりのウンチを拭きながら。
その番組では、生まれたてのシマウマがすぐに自力で立ち上がり、しばらくすると歩き出す様子が紹介されていました。
それを見て当時の私は思ったんです。
シマウマの赤ちゃんスゲー!!!
人間の赤ちゃんザコすぎだろ(笑
シマウマさんを見習って欲しいわ
そして同時に疑問に思ったんです。
どうして人間の赤ちゃんは、これほどまでに未熟で無防備なまま生まれてくるんだろう?
もう少し発達してから生まれてきてくれたら育児が楽なのに!
と。
この疑問はずっと心の片隅でモヤモヤと漂っていたのですが、最近読んだ本の中でコレをズバリ説明している文章に出会ったのでご紹介したいと思います。
『サピエンス全史』の中に、人間の赤ちゃんがめちゃくちゃ未熟なまま生まれてくる理由が書いてありました。
女性はさらに代償が大きかった。直立歩行するには腰回りを細める必要があったので、産道が狭まった――よりによって、赤ん坊の頭がしだいに大きくなっているときに。
女性は出産にあたって命の危険にさらされる羽目になった。赤ん坊の脳と頭がまだ比較的小さく柔軟な、早い段階で出産した女性のほうが、無事に生き長らえてさらに子供を産む率が高かった。
その結果、自然選択によって早期の出産が優遇された。
『サピエンス全史(上)』p22
チンパンジーやオランウータンなどの類人猿とヒトの違いの1つが、直立二足歩行をするか否かです。
進化の過程でチンパンジーと枝分かれしたヒトの祖先は、二本の足で立つことで両腕・両手を自由に使えるようになりました。
自由になった両腕は、石を投げたり合図を送ったりモノを持ち運んだり…何かと便利。
そして手を使って色々とできるヤツが生き残り、より多くの子孫を残すことができたのです。
また、直立二足歩行によって自由になった手を使うことで脳が刺激され、脳が発達したと言われています。
つまり脳みそが大きくなるということですね。
他の哺乳類のような四足歩行だと支えられる脳の大きさには限度がありますが、ヒトは直立二足歩行になることによってその限界を突破。
脳を真下から支えられるようになって、より大きな脳みそでもヘッチャラになったわけです。
そして同じように、脳みそが発達して賢いヤツが生き残ってより多くの子孫を残すことができました。
このようにヒトの祖先はその進化の過程で立二足歩行を始め、だんだんと脳の容量を大きくしていきました。
自由に腕が使えるようになって、脳みそが大きくなって、もっと賢くなって…
と、直立二足歩行はヒトに大きなメリットをもたらしました。
しかし得られたのはメリットだけではありません。
直立二足歩行によって、人体には数々の弊害が生じました。
脳貧血・誤嚥・肩こり・ヘルニア・心臓病・胃下垂・痔・難産・坐骨神経痛・膝関節炎・扁平足・・・
などなど。直立歩行に起因する病気や障害は、実はいっぱいあるんですね。
この中でも、人類にとって特に重大なデメリットが「難産」でした。
直立二足歩行への移行によって、ヒトの出産は文字通り命がけのイベントとなりました。
なぜそうなったか?その理由はいくつかあります。
ヒト以外の哺乳類の産道(出産のときに赤ちゃんが通る道)は、一直線の円筒のトンネルのような形をしています。
ところがヒトは、直立二足歩行になって身体が起き上がることによって、産道が急なS字カーブをした複雑な形になってしまったのです。
一直線のトンネル状の産道と、急なS字カーブの産道。後者のほうが出産の難易度が上がるのは言うまでもありません。
四足歩行の哺乳類の内臓も直立二足歩行のヒトの内臓も、同じく重力を受けて下方向にさがろうとします。
イメージすると分かるのですが、四足歩行の場合は内臓は重力で下方向の力を受けても、大きなお腹の筋肉によって支えられています。内臓は肛門の方におりてくる心配はありません。
一方、直立二足歩行のヒトの内臓は、いわば底の抜けたバケツに入っているような状態。そのままだと下におりてきてしまいます。
そのためヒトは、お尻まわりの筋肉(骨盤底筋など)を発達させて、内臓を支えられるように進化したのですが、
この発達した筋肉が出産の際に邪魔となってしまうのです。
直立二足歩行によって、ヒトの脳みそのサイズはだんだんと大きくなっていきました。
すると当然、出産時の胎児の頭の直径も大きくなっていきます。
ヒト以外の霊長類では産道の直径よりも胎児の頭のほうが小さいので、胎児はスムーズに出てこられます。
しかしヒトの出産では産道の直径と胎児の頭の直径はほぼ同じなので、胎児はスムーズに出てこられなくなってしまいました。
このような理由から、ヒトの出産は他の哺乳類に比べてはるかに危険なものになってしまったのです。
国立社会保障・人口問題研究所の『人口統計資料集(2022)』によると、妊産婦の死亡数と死亡率は次のようになっています。(死亡率:10万人あたりの死亡数)
医療が発達して国民に広く行き渡った現在では、死亡数・死亡率ともに大きく下がっています。
ですが、1900年には年間に6,000人以上の妊産婦が出産が原因で亡くなっています。
中世以前、つまり近代的な医療が導入される以前は、これよりもっと死亡率は高かったはずです。
さらに時代をさかのぼり、直立二足歩行に移行した直後のヒトを考えると、出産の際の死亡リスクはさらに大きかったのは間違いありません。
これまで通りのサイズの赤ちゃんを産む女性と、早産になって小さいサイズの赤ちゃんを産む女性。
死亡リスクの高まった出産においてどちらが生き残る確率が高いかというと、後者です。
つまり、早産で、より未熟な赤ちゃんを産む女性が生き残る。
生き残った女性はさらに子供を産む。
その女性から生まれた子供も早産になりやすい遺伝子を持っているので、出産の際に生き残る確率が高い。
こんな感じで、どんどんヒトの出産は早産になり、新生児はより未熟になっていったのだと考えられます。
ここまでの内容をまとめます。
直立二足歩行への移行による脳サイズの拡大&骨格・筋肉の変化
→ ① 胎児の頭が大きくなる
② 産道がS字カーブになるなど、産みにくくなる
⇓
出産による死亡リスクの上昇
⇓
早産の女性が出産で生き残りやすくなり、より多くの子供を産む
⇓
世代を重ねることに、だんだんと早産の傾向が強まる
⇓
ヒトの赤ちゃんはどんどん未熟になる
参考文献:『人類進化の負の遺産』(著:奈良貴史 新潟医療福祉大学)
ここまでのお話は、「なぜヒトの赤ちゃんはメッチャ未熟な状態で生まれてくるのか?」の理由についてでした。
簡単に言えば、「未熟な状態で産む女性が生き残りやすかったから」ということでした。
ヒトの赤ちゃんがより未熟になったのは決して狙ってそうなったのではなく、あくまでも進化の過程、自然淘汰の結果でした。
ですがその結果として、ヒト全体に次のようなメリットをもたらしたと考えれらています。
の2つです。
まず、新生児がより未熟な状態になることで、子育てには周囲からの協力がさらに必要になりました。
その結果、子育てに積極的に関与するオスが優遇されるようになり、協調性のあるオスが遺伝子を残すようになります。
このことがヒトが他の動物に比べてより高度な社会性を持つことに繋がった、という説です。
もう1つのメリットは、より未熟な状態で赤ちゃんが出てくることで、教育の可能性が大きく広がったということです。
ヒトに最も近い霊長類であるチンパンジーも他の哺乳類に比べると、赤ちゃんは未熟な状態で生まれてきます。
しかしヒトの赤ちゃんはチンパンジーの赤ちゃんに比べてもさらに未熟。しかも脳みそのサイズも段違いに大きいです。
大容量の脳みそに、より早くから教育を施せる。
だからヒトの知能は他の動物と比較にならないほどに発達した、という説です。
このようなメリットを考えると、ヒトの赤ちゃんがめっちゃ未熟であることは、人類の飛躍の土台とも言えるのかもしれません。
このページの冒頭で、人間の赤ちゃんが「見習ってほしい」例としてシマウマを挙げましたが、
他の動物はどうなんだろう?と気になったので少し調べてみました。
こんな感じでした。
パンダの謎具合が際立っていますね
あと印象に残ったのは、チンパンジーの赤ちゃんの成長過程がヒトの赤ちゃんと似ていること。
4歳くらいまで母親にべったりくっついてお世話されるそうです。チンパンジーのお母さんも大変そうでした。
「人間の赤ちゃん未熟すぎ!」「育児つらすぎ!」「シマウマの赤ちゃん凄すぎ!」
と思ったのがこの記事を書くきっかけだったのですが、調べていくうちに
「どの動物もお母さんは大変なんだな・・・」と思い直しました。
あとは、ヒトの出産は他の哺乳類に比べて段違いで危険だということ。
これは意外だったというか、恥ずかしながらそこまで意識していなかったです。
改めて自分の母や妻に感謝するとともに、自分の子供の出産前後にきちんと妻に優しく出来ただろうか?と非常に不安に思っておるところであります。
いつか復讐されるのかもしれません。
]]>因数分解が出来るかどうかは、「知ってるか知らないか?」に大きく依存します(たぶん)。
ということで、今回も因数分解です!
東大入試の理系数学で、2年連続 25点
ネタとしか思えない点数を入試本番で叩き出した元東大生の筆者が、十数年の時を超えて憎き数学にリベンジする。
「大学入試数学」カテゴリの記事では、その勉強プロセスを記録・公開しております。
(※ 計算ミスや論証ミスなどが有りましたら、コメント欄でご指摘ください。)
式変形チャンネルさんのYoutube動画の問題です。
問題
次の式を整数係数の範囲で因数分解せよ。
(1) \( \ x^3+1\)
(2) \(x^5-x^4-1\)
(1) は受験数学では即答できないとマズいですが、(2)はやり方を知っていないと厳しいですよね。
\(x^3\) を足して引いてます。
「式の結果が変わらないなら、勝手に足したり引いたりしてもOK」というのがポイントですね。
「式変形チャンネル」というアカウント名が、振り切れていて好きです。
「勝手に足して引く」というのは、因数分解では1つの定石ですよね。
他にも因数分解の問題にチャレンジしてみてください!
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3次式(3乗)の因数分解の問題です。
問題
\(a^3+b^3+c^3-3abc\) を因数分解せよ。
解き方はいくつかパターンかあると思われますが、ここでは2パターンを掲載します。
3乗の因数分解といえば・・
\[ x^3+y^3 = \left(x+y\right)\left(x^2-xy+y^2\right) \]「対称式なので対称性を崩さずに」と考えて式変形していくと・・手こずると思います。
\[\hspace{15pt} a^3+b^3+c^3-3abc\] \begin{eqnarray} &=& \left(a^3+b^3\right)+c^3-3abc\\[5pt] &=& \left(a+b\right)^3-3ab\left(a+b\right)+c^3-3abc\\[5pt] &=& \left(a+b\right)^3+c^3-3ab\left(a+b+c\right)\\[5pt] &=& \left\{\left(a+b\right)+c\right\}\left\{\left(a+b\right)^2-\left(a+b\right)c+c^2\right\}-3ab\left(a+b+c\right)\\[5pt] &=& \left(a+b+c\right)\left\{\left(a^2+2ab+b^2-ca-bc+c^2\right)-3ab\right\}\\[5pt] &=& \left(a+b+c\right)\left(a^2+b^2+c^2-ab-bc-ca\right) \end{eqnarray}
\(x^3+y^2\) の因数分解の形をうまく利用した解法ですね
たまたま上手くいった感が否めないのは僕だけでしょうか
\[\quad \left(a+b+c\right)\left(a^2+b^2+c^2\right)\] \[=a^3+b^3+c^3+ab\left(a+b\right)+bc\left(b+c\right)+ca\left(c+a\right) \]
よって、
\[\quad a^3+b^3+c^3-3abc\] \[ =\left(a+b+c\right)\left(a^2+b^2+c^2\right)-\left\{ab\left(a+b\right)+bc\left(b+c\right)+ca\left(c+a\right)+3abc\right\} \tag{A} \]
ここで、
\[\quad \left(a+b+c\right)\left(ab+bc+ca\right)\] \[=ab\left(a+b\right)+bc\left(b+c\right)+ca\left(c+a\right)+3abc\]
であるから、これを(A)に代入して
\[ \quad \left(a+b+c\right)\left(a^2+b^2+c^2\right)-\left\{ab\left(a+b\right)+bc\left(b+c\right)+ca\left(c+a\right)+3abc\right\} \] \begin{eqnarray} &=& \left(a+b+c\right)\left(a^2+b^2+c^2\right)-\left(a+b+c\right)\left(ab+bc+ca\right)\\[5pt] &=& \left(a+b+c\right)\left(a^2+b^2+c^2-ab-bc-ca\right) \end{eqnarray}
これはインチキくさいですねw \(\left(a+b+c\right)\left(a^2+b^2+c^2\right)\) とか \( \left(a+b+c\right)\left(ab+bc+ca\right)\) とか、なんで唐突に出てきたんですか?
いや、上手くいくヤツを泥臭く探した結果です。
まず、\(\left(a+b+c\right)^3\) を展開してみました。
\[\left(a+b+c\right)^3=a^3+b^3+c^3+3\left\{ab\left(a+b\right)+bc\left(b+c\right)+ca\left(c+a\right)+2abc\right\}\]
そして次に、余計な部分である \(ab\left(a+b\right)+bc\left(b+c\right)+ca\left(c+a\right)\) のような項が出てくるような対称式の掛け算を探しました。
その結果見つかったのが、コレです。
\[\quad \left(a+b+c\right)\left(ab+bc+ca\right)\] \[=ab\left(a+b\right)+bc\left(b+c\right)+ca\left(c+a\right)+3abc\]
でも、\(abc\) の符号と係数が合いません。色々と試行錯誤した結果、\(\left(a+b+c\right)\left(a^2+b^2+c^2\right)\) が見つかってくれました。
正直、見つかったのはたまたまですね。
いや、結局たまたまかいw
因数分解って、ヒラメキというより「どれだけ多くのパターンを知っているか」が重要なんだと思います。
ということで、4次式の因数分解もついでにどうぞ
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3次式や4次式の因数分解は、やり方を知らないと思いつかないものも多いですよね。
ということでこのページでは、4次式の因数分解の1パターンについてです。
ではさっそく問題です。
問題
\(x^4+4\) を因数分解せよ。
\[ \begin{align} \quad x^{4}+4 &=\left(x^{2}+2\right)^{2}-4x^{2} \\[3pt] &=\left(x^{2}+2\right)^{2}-\left(2x\right)^{2}\\[5pt] &=\left(x^2+2x+2\right)\left(x^2-2x+2\right) \end{align} \]
なんとかして「和と差の積( \(a^2-b^2\) )」の形にもっていく感じですね。
上のような4次式の因数分解を一般化したものは、「ソフィージェルマンの恒等式」と呼ばれるそうです。
\[a^4+4b^4=\left(a^2+2ab+2b^2\right)\left(a^2-2ab+2b^2\right)\]
▼導出過程▼
\begin{eqnarray} a^4+4b^4 &=& \left(a^2+2b^2\right)^2-2\cdot2a^2b^2 \\[3pt] &=& \left(a^2+2b^2\right)^2-\left(2ab\right)^2 \\[5pt] &=& \left(a^2+2ab+2b^2\right)\left(a^2-2ab+2b^2\right) \end{eqnarray}
「4乗 + 4乗」のかたちで、片方の係数が4ならばこの公式が使えます。
たとえば、冒頭の \(x^4+4\) は \(4b^4\) の \(b\) に \(1\) を代入したものです。
他にも、
\begin{eqnarray} x^4+64 &=& \left(x^2+8\right)^2-16x^2 \\[3pt] &=& \left(x^2+8\right)^2-\left(4x\right)^2 \\[5pt] &=& \left(x^2+4x+8\right)\left(x^2-4x+8\right)\\[5pt] \end{eqnarray}
\begin{eqnarray} x^4+324p^4 &=& x^4+4\cdot81p^4 \\[5pt] &=& x^4+4\cdot3^4p^4 \\[5pt] &=& \left(x^2+2\cdot3^2p^2\right)^2-2\cdot2\cdot3^2p^2x^2 \\[5pt] &=& \left(x^2+18p^2\right)^2-\left(2\cdot3px\right)^2 \\[5pt] &=& \left(x^2+6px+18p^2\right)\left(x^2-6px+18p^2\right) \end{eqnarray}
などなど。
4次式の因数分解をしないといけない場面では、このソフィージェルマンの恒等式を思い浮かべながら、
「うまく和と差の積の形に持っていけないか?」と、まずは疑ってみると良いかもしれません。
東大入試の理系数学で、2年連続 25点
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目次
鈴木貫太郎さんのYoutube、2022年3月20日投稿の動画の問題です。
問題
\(n^4-11n^2+49\) が素数となる整数\(n\)を求めよ。
整数問題の定石は
の3つですが、4次式の因数分解のパターンといえば・・・
2つの整数の積が素数となるとき、片方の整数は \(1\) または \(-1\) となる。
素数をPとして、考えられる組み合わせは
\(P\cdot1, 1\cdot P, \left(-P\right)\left(-1\right), \left(-1\right)\left(-P\right)\) だけってことですね。
ここで、
\[n^2+5n+7=\left(n+\frac{5}{2}\right)^2+\frac{3}{4}>0\] \[n^2-5n+7=\left(n-\frac{5}{2}\right)^2+\frac{3}{4}>0\]であるから、与式が素数であるためには \(n^2+5n+7=1\) または \(n^2-5n+7=1\) であることが必要。
(ⅰ)\(n^2+5n+7=1\) のとき
\[\hspace{18pt}n^2+5n+7=1\] \begin{eqnarray} &\Leftrightarrow&\ n^2+5n+6=0 \\[8pt] &\Leftrightarrow&\ \left(n+3\right)\left(n+2\right)=0 \end{eqnarray} \[\quad \therefore\ n=-2,-3\]① \(n=-2\)のとき
\begin{eqnarray} n^4-11n^2+49 &=& \left(n^2+5n+7\right)\left(n^2-5n+7\right) \\[3pt] &=& 1\cdot\left\{\left(\left(-2\right)^2-5\cdot\left(-2\right)+7\right)\right\}=21 \\ \end{eqnarray}
与式は素数とならず、不適。
② \(n=-3\)のとき
\begin{eqnarray} n^4-11n^2+49 &=& \left(n^2+5n+7\right)\left(n^2-5n+7\right) \\[3pt] &=& 1\cdot\left\{\left(\left(-3\right)^2-5\cdot\left(-3\right)+7\right)\right\}=31 \\ \end{eqnarray}
与式は素数となる。
(ⅱ)\(n^2-5n+7=1\) のとき
\[\hspace{18pt}n^2-5n+7=1\] \begin{eqnarray} &\Leftrightarrow&\ n^2-5n+6=0 \\[8pt] &\Leftrightarrow&\ \left(n-3\right)\left(n-2\right)=0 \end{eqnarray} \[\quad \therefore\ n=2,3\]① \(n=2\)のとき
\begin{eqnarray} n^4-11n^2+49 &=& \left(n^2+5n+7\right)\left(n^2-5n+7\right) \\[3pt] &=& \left(2^2+5\cdot2+7\right)\cdot1=21 \\ \end{eqnarray}
与式は素数とならず、不適。
② \(n=3\)のとき
\begin{eqnarray} n^4-11n^2+49 &=& \left(n^2+5n+7\right)\left(n^2-5n+7\right) \\[3pt] &=& \left(3^2+5\cdot3+7\right)\cdot1=31 \\ \end{eqnarray}
与式は素数となる。
以上より、\(n=3,-3\) のとき、\(n^4-11n^2+49\) は素数となる。
4次式の因数分解さえ出来れば、あとはオーソドックスな整数問題でした。
4次式の因数分解については、このYoutube動画がオススメです(笑)
MathJaxの数式が長くなると、スマートフォンで見たときに横にはみ出してしまいますよね。
こんな感じで、本来ならコンテンツが入るべきでない右横のスペースに数式が突き出してしまいます。
いや、このレベルの長さだと、もはやPCでもはみ出してしまいます。
読者が見やすくするためには、数式が横方向にスクロールできたらいいですよね。
ということで実際に横スクロールできるようにしたのが、こちらです。
このページでは、MathJaxの長い数式をスクロール可能にする方法をご紹介します。
まず、CSSに以下のようなコードを追加します。
.math-scroll { overflow-x: auto;
}
.math-scroll
のmath-scroll
の部分は、すきな文字列でOKです。CSSの他の要素と名前が被らない範囲で、それっぽい名前にしましょう。
上のコードをマルっとコピーして貼り付ければ準備完了です!
ここで一応、コードの内容についても少し触れておきます。
プロパティoverflow-x
を使うと、横方向にコンテンツがはみ出したときの処理を指定できます。指定できる内容は次のとおりです。
overflow-x: visible;
※初期値overflow-x: hidden;
overflow-x: scroll;
overflow-x: auto;
ここで、
「overflow-x: scroll;
でもいいのでは?」「むしろそっちの方がソレっぽいのでは?」
というツッコミを入れたくなるかもしれません。
ではなぜoverflow-x: scroll;
を使わないのかというと、スクロールする必要のない時でもスクロールバーが表示されてしまい、かっこ悪いからです(PC表示の場合)。
余談が長くなりましたが、とにかくCSSコードをコピペして追加すればOKです!
「HTMLを編集する」というのは少し大げさで、ただ単に<div class="math-scroll">
と</div>
でMathJaxの数式を囲むだけです。
冒頭の \(x^{11}+x^{10}+\) …の因数分解の等式のコードなら、次のようにHTMLを書きます。
<div class="math-scroll">
\[x^{11}+x^{10}+x^9+x^8+x^7+x^6+x^5+x^4+x^3+x^2+x+1=\left(x+1\right)\left(x^2+1\right)\left(x^2+x+1\right)\left(x^2-x+1\right)\left(x^2+\sqrt{3}x+1\right)\left(x^2-\sqrt{3}+1\right)\]
</div>
▼実際の表示▼
PC表示だと、スクロールできる時はスクロールバーが常に表示されるので、「あ、スクロールできるんだ」と読者に気付いてもらえます。
一方、スマホ(iPhone・Android)ですと、スクロールできるときでもスクロールバーは画面をタッチしない限り出現しません。
タッチして初めて、読者は「あ、スクロールできるんだ」と気付くわけです。
スクロールバーが見えていなくても、数式の右端の文字が途中で途切れている場合などは、読者が「?」と思う可能性が大きいです。そして、タッチしてスクロール可能なことに気付いてくれるでしょう。
でも、数式が右端でキレイに収まってしまっているケースでは、スクロール出来ることに気づかないかもしれません。
ですから、スマホ表示では「スクロールできます」という文言を追加しておくとベターだと思います。
CSSで「PCでは非表示、スマホでは表示」という切り替えもできますので、これを使うと読者にとって邪魔にならず、ユーザビリティを高められるはずです。
以上、横長の数式をスクロールして表示させる方法でした。
簡単ですので、ぜひやってみてください。
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